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【インタビュー】キャリアの多様性を高め、働き方にその人らしさがにじみ出る社会へ|黒田悠介さん

time 2017年03月05日

【インタビュー】キャリアの多様性を高め、働き方にその人らしさがにじみ出る社会へ|黒田悠介さん

「日本のキャリアの多様性を高めるために自分自身を実験台にしている文系フリーランス」黒田悠介さん。

ワークルの会員でもある黒田さんに、なぜ「キャリアの多様性を高める」ことを目指しているのか、そしてご自身の活動とワークルはどうつながっているのか、お話を伺いました。

黒田悠介さんプロフィール
東京大学心理学部卒業後、ベンチャー企業に入社。新規事業立ち上げに携わる。その後、転職先で立ち上げることになった子会社の代表を務める。スタートアップ企業の経営者として活動する中で「どうしたら成長企業へ人が行くのか」という問いを抱き、グロースヒューマンキャピタルを標榜するスローガン株式会社へ入社。キャリアコンサルタントを経て、現在はフリーランスとして働きながら、ヒューマンリソース最適化コンサルティングを展開する株式会社ブレンディッドのCOOを務めるなど、幅広く活動中。
<より詳しいプロフィールは【こちら】から>
<ブログ|『文系フリーランスって食べていけるの?』>

「点」ではなく「線」で考える、キャリアシナリオ

廣瀬:今日はずばり「キャリア」や「働き方」についてお話していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 

黒田:よろしくお願いします。

 

廣瀬:黒田さんは今フリーランスとして活躍されていますが、具体的にどのような活動をされているか、教えてください。

 

黒田:大きく分けると3つの活動をしています。

 

見せていただいた黒田さんの名刺

見せていただいた黒田さんの名刺

 

黒田:名刺の1番上の「新規事業ディスカッションパートナー」が今メインの活動です。ディスカッションの形を取りながら、その内容は時にはティーチング、時にはコーチングと様々です。人と話すのが仕事ですね。

2番目の「アイディエーション講師」は、ディスカッションパートナーを1対1ではなく、例えば企業研修など、セミナー形式で行っています。

そして、最近面白くなってきているのが、3番目の「キャリアシナリオ コンサルタント」です。

 

廣瀬:「キャリアコンサル」とは違うんですか?

 

黒田:少し、違います。「キャリアシナリオ コンサルタント」は、その人の「キャリアシナリオ」を一緒に考える活動です。

世の中一般的に、今までのキャリアコンサルは転職、就職のような「点」の視点でした。でも、本当のキャリアや人生は点ではなく、もっと長いはずです。その長い人生の中で、長期的な作戦を立てようとしています。

 

廣瀬:だから「キャリア」ではなく、「キャリア“シナリオ”」なんですね!

 

黒田:まさに。点ではなく時間軸を意識してキャリアを考えようよ、という発想です。

コンサルティングでは、相手の「こうなりたい」「こういう仕事がしたい」というビジョンを聞き、そこに向かうには今何をするのがいいか考えます。まだ前例のない生き方も存在するので、教えるのではなく一緒に考えて、本人の内側から出るようにしています。

 

長寿化と組織の短命化。自身でキャリアを選べる時代へ

廣瀬:なぜ「キャリア」について考えるようになったのですか?

 

黒田:スタートアップの経営をしていた時に、組織は「ヒト」がいないと何もできないという課題を感じました。だから「どうしたら成長企業にヒトが行くんだろう?」と考え、スローガンに入り、キャリアコンサルタントとして活動するようになったのが始まりです。成長しているところにこそ、もっと優秀な人が入った方が世の中全体としていいな、と思ったんです。

 

廣瀬:最初に「キャリア」へ関わられたときは、社会課題としての人材の配置を考えられていましたのが、今の「キャリアシナリオ」は視点が対個人に移ってきているように感じました。

 

黒田:確かに、活動の視点が移ってきていると思います。

最初は経営者の目線で、成長企業に人材がいないから、このままだと日本の産業が地盤沈下してしまうという考えでスローガンに入りました。それが、入ってみて実際にキャリアコンサルをしているうちに少しずつ変わっていきました。

 

廣瀬:ひとりひとりと向き合っているうちに、変わってきたんですね。

 

黒田:そうですね。

はっきりとした大きな転換期はないのですが、「キャリアシナリオ」と言い出したのはリンダ・グラットンさんの『LIFE SHIFT』を読んだのがきっかけです。その中に「100年ライフ」という考え方が出てきます。この考えに出会ったとき、そういう長期的な視点でキャリアを考えている人は世の中にあまりいないと感じました。

一方で、自分はこれまで複数のキャリアを経験してきました。キャリアについてもよく考える人間なので、ナビゲートする役割が担えるのではないかと思い始めました。今、働き方の過渡期にある社会で、「キャリアシナリオ」の必要性を感じたんです。

「フリーランス」について講演(写真提供:黒田さん)

「フリーランス」について講演(写真提供:黒田さん)

 

廣瀬:「働き方の過渡期」と最近よく言われますが、なぜ、今「過渡期」に差し掛かったのでしょうか?

 

黒田:人間の寿命が延びた一方で、企業や組織の寿命が短くなってきたことが挙げられます。その社会において、1つの企業や組織で一生過ごすことはなくなります。何かしらの形で転職、あるいは転身が必要です。長寿化と組織の短命化が合わさって、キャリアにおいても人間が主体的に考え動く必要が出てきているんです。

 

廣瀬:「終身雇用で一生ハッピー」ではなくなってきたんですね。

 

黒田:「自分で考え選ばなければならなくなった」とも言えますが、逆に「自分で選べるようになった」とポジティブに捉えることができます。そのポジティブな側面を伝えていきたいです。

 

廣瀬:誰でも自分の意志でキャリアを選択できるということですね!

 

黒田:キャリアの選択肢も増えてきました。昔であれば会社員か非正規雇用かぐらいしか働くフェーズはありませんでした。それが今は会社員、副業、起業、フリーランスになってもいい、スモールビジネスを行ってもいい、フリーランスでもチームを作って活動してもいいと、働き方は無数にあります。それをどう組み合わせ、どのような生き方をしたいのかを一緒に話し合っていきたいです。

 

キャリアの多様性を高めることで、その人らしさがにじみ出る社会へ

廣瀬:黒田さんのこれからの「キャリアシナリオ」は、どんなストーリーですか?

 

黒田:今の活動はすべて「キャリアの多様性を高める」という目的を達成するための手段です。目的の達成につながるのであれば、取り得る手段は何でも取っていきたいと思っています。まだ何とは決めていませんが、計画と実証実験を続け、「これはうまくいった」「これはうまくいかなかった」という結果を世の中に出し続けたいですね。そして、沢山の人に「そういう肩書もありなんだ」ということを知ってもらいたい。

 

廣瀬:今までにない働き方を試し、新たな肩書を作って広めるということですか?

 

黒田:例えば、ディスカッションパートナーもキャリアシナリオ コンサルタントも新しい肩書です。新しい形の働き方を世の中に出していき知ってもらい、多くの人に真似てほしいです。

5年後に「キャリアシナリオ コンサルタント」を多くの人が使っていて、「そういえば、これ最初に言い出したの誰?」となったときに「黒田です!」と言えたら嬉しいですね(笑)。

 

自身の活動を発信中「文系フリーランスって食べていけるの?」

自身の活動でわかったことを発信中「文系フリーランスって食べていけるの?」

 

廣瀬:キャリアの多様性が高まると、どんな可能性が広がるのでしょう?

 

黒田仕事の仕方に「その人らしさ」がにじみ出るようになるといいな、と思っています。ひとりひとりの人生にフィットする働き方が選択できるようになったと、みんなが感じられると嬉しいです。

 

廣瀬:確かに、多様性が高まった世界は、ワクワクします。ただ、選択肢が多くなってくるとワクワクと同じぐらい迷っちゃいますね。

 

黒田:そうなんです。例えば、副業する場合「その中身は?割合は?家族との時間は?」と複雑な設計が必要です。だから、キャリアシナリオ コンサルティングは、「ライフプランナー」と言っても過言ではないくらい、その人の人生を考えないといけません。そのため、かなり深いプライベートな部分まで話を聞いたりもしますね。

 

廣瀬:「キャリア」と「ライフ」2つの言葉が出てきましたが、この2つはどう違うのでしょう?

 

黒田人生を豊かにする何かを得られるものが「キャリア」だと思っています。お金、喜び、学び、仲間、貢献、評判、自己理解……得られるものは沢山あります。自分を大きくし、自分の中に取り込んでいく、「変わっていく過程」とも言えますね。

 

廣瀬:「キャリア」の積み重ねが、「ライフ」につながっていくんですね。

 

黒田:そうですね。その中でも友人や愛と、「ライフ」には含まれるけれど「キャリア」だけでは得られないものもあると思います。

 

イベントに集まった方々との1枚(写真提供:黒田さん)

イベントに集まった方々とトレードマークの眼鏡ポーズ(写真提供:黒田さん)

 

ワークルは「キャリア」と「ライフ」が融合している

廣瀬:黒田さんは、ワークルにも会員として関わってくださっていますよね。ワークルのどんなところに魅力を感じて入られたのでしょうか?

 

黒田:ワークルは「キャリア」と「ライフ」の境界線がすごく曖昧で、そこがいいなと感じました。いい意味で人生とワークを分けて考えない人が多いですよね。そういう人たちの生き方を見たり応援したりしていく中で、新たな「実験」をする人が増えるといいなと思っています。

「ライフ」と「ワーク」を融合させた生き方は、まだ実例が少ないです。それを実験しながら自分たちで切り拓いていくような人たちが好きで、そういう人を増やしていきたいですね。

 

廣瀬:ありがとうございます。では最後に、今後ワークルに期待することを教えてください。

 

黒田:ぜひ、もっと「実験」スタイルを増やして欲しいですね。こういう生き方、こういう働き方、もっと実験の幅があるといいなと思います。

そして、成功だけでなく失敗も発信し、成功と失敗の事例集が出来上がるといいですね。「成功するかはわからない、失敗するかもしれない。けど実験してみよう」ということができる場だと嬉しいですね。結果が成功であれ失敗であれ、そこに挑むことを応援する場であって欲しいです。

 

廣瀬:ありがとうございました!

 

編集後記

通常は対面で行う「キャリアシナリオコンサルティング」ですが、現在Wowmeを使ってオンラインでも依頼することができます(依頼は【こちら】)。私自身、インタビュー後にお願いしてみました。とても丁寧にこちらの状況を読み取って例示いただいたシナリオは、本当に「ストーリー」。急旋回で今の状況を変えようとせずとも、少しずつ取り組めることがあり、その中でまた次を明確にしていけるのではないかと、言葉で言われるよりも実感することができました。

インタビュー中、何度も「実験」という言葉を使われていた黒田さん。私は、どんな仮説を立てて、どんな実験を行っていこうかな?お話しを伺いながら考えると、ワクワクしてきました。

 

参考URL

文系フリーランスって食べていけるの?

黒田悠介「働き方・生き方の多様性を高めるための実験者・実践者であり続けたい」

(ライター:廣瀬)

 

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