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【レポート】林さんと考える、これからの働き方の勉強会(一般公開用)

time 2017年03月08日

【レポート】林さんと考える、これからの働き方の勉強会(一般公開用)

「新しい働き方」を先頭に立って切り拓いているリクルートホールディングスの働き方改革推進室室長 林 宏昌さんをお招きし、ワークル会員のみんなとこれからの働き方を考えていく勉強会を、3月2日(木)に開催しました。仕事帰りの夜に20名が集まり盛り上がった勉強会、その様子をレポートします。

林宏昌さんプロフィール
株式会社リクルートホールディングス 働き方変革推進室 室長。2005年リクルートに新卒入社。住宅領域「SUUMO」の新築マンション首都圏営業部に配属。12年より、(株)リクルートホールディングスにて社長秘書業務や経営企画室室長として中長期のグループ戦略立案などを担当。15年より広報ブランド推進室室長および働き方変革プロジェクトのリーダーを務め、16年4月より現職。

リクルートの「働き方改革」

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改革の中で取り組んだオフィスの場づくり。林さんはその入り口に、リクルートのVISIONである「Follow your heart」を掲げました。

 

「働き方においても、“Follow your heart”を目指したい。どんな働き方、生き方をしたいのかを自分で決めていける社会になるといいと思っています」


林さんの取り組む働き方改革は、「ダイバーシティとイノベーションを創出していく」という軸があり、そのためにこれからの日本に求められる働き方を提示していこうとしています。その1つがリモートワークであり、飛び地拠点のサテライトオフィスの導入です。

「リモートワークが素晴らしいと思っているわけでも、リモートワークが目的であるわけでもありません。ただ、必要もないのに会社に毎日時間を使って来ないといけないのもナンセンス。もっと働き方が多様化していいはずです。その選択肢の1つがリモートワークであったり、サテライトオフィスであったりします」

なぜ、改革が必要なのか

なぜ、今までの働き方が揺らいでいるのか

大きな流れとして2つの要因が挙げられます。

 

1.個人の寿命が延びている
  →20歳~70歳、約50年働き続けることになる世代
2.企業の寿命は短くなっている
  →平均して25年間程度


その結果、大半の人が人生の中で最低一回は何らかの形で転職する社会が目前に迫っていると林さんはおっしゃいます。

 

働き方の現状はどうなのか

この数十年を見てみると「会社に雇われる」働き方がどんどん増えてきています。昔は「家業を継ぐ」という自営業が多かったのが、「サラリーマン」が主流になってきたということです。林さんによると、これは日本に限ったことではなく世界共通で言える傾向だそう。

 

キャリア観の現状はどうなのか

複数の国で、同じ質問項目で働き手のキャリア観のアンケートを取ると、日本は独特の価値観であることが見えてきます。(リクルートワークス研究所「Global Career Survey」)

 

ほとんどの国がキャリア・職場に求めるものの第一に高賃金や福利厚生を掲げた中で、日本の第一は「良好な職場の人間関係」。さらに、教育研修機会やキャリアパスの明確化などの項目も日本は他国より低いという結果が出ています。日本は「自分個人より、周囲との関係性」を働く場や仕事にも求める傾向があると言えます。

 

また、グローバル志向か地域志向かという項目では、他国に比べ日本は地域志向が強いという結果でした。(リクルートワークス研究所(2015)「5カ国マネジャー調査」)

 

これら2つが重なり、日本のサラリーマンの多くが獲得するビジネススキルが「この(特定の)会社だから活かせる」ものに偏りがちになっているのだそう。その結果、転職時に賃金が減る可能性が諸外国より高くなっている調査結果が出ています。

 

価値観の多様化が、働き方変革の必要性を生み出している

働き方改革が求められる理由を、林さんは冒頭の2要因以外にもいくつか挙げています。

中でも大きいものが「価値観の多様化」です。

 

「昔はみんな『いつかは郊外に家を買う』『いつかは“クラウン”を手に入れる』という同じような価値観のもとに一生懸命働いていました。求めるものが同一だから、拡大生産制、つまり工場を稼働して大量生産する世の中でよかった。企業にとっては1分でも長く工場を動かすことが利益につながり、仕事の多くも肉体労働だったわけです。その環境では、男性が外に行って少しでも長く働き、女性がその分家事を担当するというのは理にかなった効率のいいシステムでした」

 

しかし、市場が飽和して高度経済成長が終わり、さらにITの発達でビジネスの形が変わってくると状況が変わってきたといいます。

 

「求めるものが同一でなくなり、価値観が多様になります。そうして、大量生産大量消費の拡大生産制が終焉を迎えてきているのが今です。さらにIT技術やインターネットの発達で時代の流れが速くなり価値観がより多様化し、またビジネスの形も今までの工場稼働以外のものが出てくるようになりました」

 

これによって、私たち一人ひとりに多様になった価値観に合う働き方を生み出す必要性が生まれてきました。企業にとっても、常にイノベーションを起こし進化すること、そして多様な価値観=ニーズにあった商品サービスを提供し続けることが求められてきました。

価値観が多様になったことで、個人も組織も変革が求められているのです。

 

最適な働き方の実現と企業の成長はトレードオフではない

しかし、未だに企業と話をするとリモートワークや時短の導入、働き方の改革は難しいという会社も多いそう。

 

1.従業員個別の最適な働き方の実現
 2.顧客価値を高め、事業・企業の成長を加速させる働き方の実現
この2つをトレードオフだと思っている企業が実に多くあります。しかし、実際はこの2つを両立させなければなりません」

 

従業員一人ひとりが自分のスタイルを決め、百人百色の働き方がある。それでいて、そのことが企業成長の加速につながっている。そのようになる方法を求めていく必要があると林さんは強くおっしゃいます。

 

生産性を上げ、空いた時間をどう使うかがKey

現在は先陣を切って働き方改革を推し進めるリクルートでも、過去には長時間働くことがスタンダードだった時期があるという林さん。

 

生産性を上げ、今と同じ成果をより短時間で生み出すことで空き時間を作らなければならないという点はみんな合意がとれます。しかし、今までとこれからの働き方改革では、このできた空き時間の使い方が異なるといいます。

 

「今までは空いた時間に新たな仕事をさらに埋め込んでいました。けれど、それではいつまでたっても『仕事・食べる・寝る』だけで、自分のスキル、自分のキャリアへはつながりません。多様な価値観に合った働き方でもありません。この空いた時間に自分の好きなことを行えるようになることが重要です」

 

1年目はそこを仕事に充ててもいい。2年目は勉強したり、院に行くのもありかもしれない。人によっては家事や子育てに充てるだろう。そのバランスや何をやるかの選択も自分でしていくように変革したいと林さんはおっしゃいます。

 

「特に、空いた時間はインプットの時間にしていきたいですね。社内外問わずに、人・本・旅と言われるようなものに充てていきたいです。そうすることで、より自身のスキルを高めることもできるし、イノベーションのヒントを見つけ出すこともできるようになります」

 

週3勤務の導入や、リモートワーク、誰もが1時間も通勤しないで、どこかしらのサテライトオフィスにアクセスできるようにする取り組みなどは、すべてこのための手段です。

 

リクルートの改革を支える「will / can / must」

リクルートの働き方変革を支える重要な取組として、社員一人ひとりの「will / can / must」を振り返り考える機会の設置があるといいます。約半年に1度のペースで面談期間を設けています。面談ではワークシートを使いながら、それぞれ深めていきます。

 

1.will
 →今の仕事(向こう1年くらい)で実現したいこと
 →2~3年のキャリアイメージ
2.can
 →360度調査 
 →どんな強みを生かし、何を克服して欲しいか
3.must
 →何をやるか

 

中でも最も重要なのが「will」。そして、「must」はいかに「will」と「can」へつなげるかがポイントです。mustだけを実施すると無味乾燥なものになり、目先を追って今の仕事・会社に必要なことのみが上がってきてしまう可能性も高まると言います。

 

「この『will / can / must』をしっかり考え話せていると、仕事の取り組み方を自分で考えるようになり、自己の成長と仕事がつながるので、仕事が面白くなります。だから、ここを一緒にしっかり考えられていると、特に働き方を管理しないで自由にやってもらっても、成果があがるんです」

 

逆に、これができていないと「やらされている」という受動的な向き合い方を仕事に対してするようになるそう。そうすると、「より楽にできるようには」という思考が強くなり、あまり自ら仕事に取り組まない構造になります。組織は仕事をやってもらうために管理をしようとしますが、管理されると従業員はより「やらされている」感じ……という負のスパイラルに陥ると林さんはおっしゃいます。

 

リクルートが取り組んでいる働き方改革の内容

具体的にはどのような取組を進めているのでしょうか。

 

「最近一番取り上げられるのが、リモートワークの導入ですね」

 

2015年から試験的に導入した週3回のリモートワーク。その結果が非常に良かったため、現在は、雇用形態に関わらず全従業員が上限なくリモートワークを取り入れられるようにしています。

 

他にも、オフィスに固定の座席がなく好きなところを使ってよい「フリーアドレス」の導入や、サテライトオフィスの東京近郊37カ所(※2017年3月現在)への設置など、より働き方を柔軟に選択できる取組を進めています。昨年10月には子育てをしながら働く選択肢の拡充に向け、キッズスペース付のサテライトオフィスも試験的に設置しています。

 

最初の風土醸成が肝

「いつでも、どこでも働ける“風土”の醸成が必要」と語る林さん。そのために最初はオフィス勤務の人口割合を減らす必要があるそうです。

 

「オフィスが悪いわけではありません。でも、ミーティング時にリモートの人が少ないと、どうしてもオフィスにいる人たちの声が大きくなる。みんな対面で打ち合わせているところに一人だけオンラインだったとしたら、意見も言いにくいし『ちょっと聞こえにくかったので』なんてことも言いにくくなりますよね。だから、リモートという選択肢を根付かせるためには、オフィスにいる側をマイノリティにして、発言力を均衡にする必要がありました」

 

今では、チームコミュニケーションに利用しているチャットサービス上で業務開始報告をしている人たちを見ると、2/3が自宅またはサテライトオフィスから発信している環境が出来上がっています。

 

リモートが進む中における、リアルオフィスの意義

働き方の選択肢を広げるためには、サイバーオフィスを進める必要があるという林さん。ワークスペースをサイバー空間へ拡張し、意思決定と業務遂行のスピードを上げていきます。

 

「オフィスに集まるのが当たり前ではなくなります。オフィスでなくても仕事ができる。そうすると、リアルなオフィスの意義も自ずと変わってきます

 

そこで、これまでの一人1台の机椅子を用意したオフィスから、よりカフェのような感覚のオフィスへリニューアルしました。

 

場所だけでなく、関わり方も変化していく

働き方の選択肢が従業員側にあるだけでなく、もっと様々な関わり方があっていいと話す林さん。

「週3日だけリクルートで働いてもらい、残りの時間で別の個人の活動や仕事をしてもいい。こうなってくると、社員という形態である必要はなくなります。一度リクルートを独立などで卒業した人がフルタイム5日間ではない形で関わるのでもいい。フリーランスの方が入ってくるのでもいい。組織の中で関わる人も多様化していきます」

この選択肢の広がりが、フリーランスやアーティストとのコラボレーションにもつながる可能性があると林さんはおっしゃいます。

 

焦る必要はない!林さんからのメッセージ

働き方の激動にある現代。そんな中にいる私たちへのメッセージで林さんは締めくくりました。

「willとcanの話の中でwillが大事と話しましたが、この変化激しい今において若手のうちに急にwillを明確にすることが難しいこともあると思います。特に、学生なんかはそうではないでしょうか。そんなときは、canの『何が自分に向いているか』という部分からキャリアを考えるのも、ありです。目標を明確に定めた山登りでなく、川を下っていくような流れにのったキャリアもいい。焦る必要はありません。山登り的なキャリアにおいても、川下り的なキャリアにおいても、新しい情報を学び、柔軟に変化していくのも重要です」

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