ヒトトナリ

【インタビュー】日本の「冒険者」を増やす第三のコミュニティ|株式会社Lifenote 代表 町塚俊介

time 2016年10月26日

【インタビュー】日本の「冒険者」を増やす第三のコミュニティ|株式会社Lifenote 代表 町塚俊介

「ヒトトナリ」では、想いを起点にワークル活動を通じて何かを成し遂げたい人の価値観や、その背景、どんな世界を実現するために何をしているのかを取材し、その人の「人となり」をお伝えしていきます。

 

今回は当メディア「ヒトトナリ」の運営を行っている株式会社ライフノートの代表 町塚俊介氏に主幹事業である「ワークル」に関してお話を伺いました。

 

ワークルは仕事版のサークル

 

外山:ではでは、改めてよろしくお願いします!まず早速ですが、ワークルとはなにか、教えてください。

 

町塚:ワークルは仕事版のサークルで、社会人を中心に家と会社以外のサードプレイスとして組織を超えて、やりたいことを実現していく場です。
個人的にサードプレイスでこそ本当に熱中できることに出会え、その人の強みや可能性がのびると思っています。

 

というのは、会社の中だと競争関係や階層があって、例えばクライアント・上司・会社の期待に応えないといけないみたいなのがあるんですよね。だから自分と仕事を接続しにくいんです。

 

反対にサードプレイスだと組織のような縛りもないから自由にやっていいし、お金を稼がなくてもいいからリスクも少ない、会社だと自分の知恵をだれかに渡すと負けるかも、みたいなこともあるけど、サードプレイスにはないので、ほかの人に応援してもらいながら、やりたいことが前進していくと考えています。

 

例えば、僕自身、ワークルの原型となるライフノートの立ち上げを、社会人をやりながら兼業の形でやっていました。
勤め先では新卒1年目として働いていましたが、社外では肩書や立場は関係なく、共通の想いさえあれば仲間や協力者を募ることができます。実際に新卒1年目ではなかなか接することもできない、大企業の社長クラスの方と一緒に仕掛ける経験もさせていただきました。

また、会社の方で生活費を稼ぐことができているので、目の前のお金に振り回されることなく、純粋にやりたい事を純粋に追及することに意識を向けられたと思います。

 

外山:それ、わかります。好きなことと仕事って結びつけることって難しくて、私も就活のとき悩みました。だからあきらめることもたくさんありましたし、いまでも割り切っていることもあります。
ただ組織ではない場所で、やりたいことを実現していくことはなかなか難しいとも思うんですが、具体的にはどのようにしてプロジェクトを前進させているんですか?

 

町塚:やってることとしては大きく3つあります。

1つ目はライザップのトレーナーのキャリア版。毎月1回、ワークルを一緒に運営しているメンバーと会員とで1on1と呼ばれる1対1の面談をしてそれぞれのやりたいことと伸ばしたいことをチューニングします。
その担当の運営メンバーは本人以上に会員のキャリアや学びの機会と向き合っていて、いままでの経験とその人をつなぐことはもちろん、その人とワークル内の学びの機会や人とつなぐ役割を果たしています。
 
2つ目は実践の場。1つ目に挙げた内省するだけでは、結果は変わらないので、実践の場も作り、プロジェクトが進むようにサポートしています。
合計で現在は40プロジェクトあって、テーマもフェーズも様々。

教育系であれば「未来の部活動」という部活動を選択するように大人と一緒に社外活動をするというプロジェクト、起業してお寺版のスペースマーケットを運営している人もいますし、カフェを作りたいというようなまだ走り出してないものもあります。会員は1on1での気づきからやりたいことと一致するプロジェクトにはいったり、立ち上げたり、外部から持って来たり、立ち上がり方も様々ですね。
 
3つ目がワークルゼミと呼ばれるテーマ別の分科会です。教育やメディアなどテーマごとにあつまり、互いにうまくいく事例やナレッジを共有して、おせっかいしあう、という場です。
 
ほかにはメンターとして登録してくれている方々を講師としてお呼びして勉強会を開いたり、半期に一回100人規模でワークルの発表会も行っています。

 

心に素直に無邪気に冒険するように生きている人のほうが幸せ

外山:「会社で働くとは別にサードプレイスとしてやりたいことをする」というアイディアはどのようなきっかけで思いついたのでしょうか?
 
町塚:今はこのような形で起業をしていますが、新卒ではリクルート住まいカンパニー(以下RSC)に入社しました。当時はライフノートの世界観も作りたいと思っていたし、一方で地域系でも色々活動していたから、どっちにしようか悩んだ末、両方走らせてみたらどっちがやりたいか見えるかなって思って。
リクルートには自分のウィル(やりたいこと)を追っている社員が多いイメージがあったんですが、半年働いてみると思ったよりそういう人が少ないという印象を受けました。他社より作りたい世界が明確な人が多いと思っていたリクルートでさえ少ないのであれば、ほかの企業ではもっと少ない。そこに違和感を感じたんですよね。

 

外山:確かに、私もリクルートには信念や「これがやりたい」という想いを持っている人が多いと思います。思ったより少なかったとはいえ、RSCにも魅力的な方々がたくさんいたと思うのですが、そこでやめて起業すると踏み切れたきっかけはなんだったのでしょうか。

 

町塚:1つ目はパラレルキャリアの推進のために、主体的なサードプレイスでの活動のおかげで属している組織でもよい成果がでたという事例を作りたいと思ってRSCにライフノートと兼業しながらはいり、それが実現したんです。
自分の場合、サードプレイスでつながっていた人のおかげでなかなか会えない社長レベルの人と営業活動初日からアポをとることができ、成果を出すこともできました。
 
2つ目はライフノートが解散したことです。当時は戦略を決めるフェーズで時間をかける必要があったんですが、自分も仕事が増えて時間が取れなくて、仲間も社会人1年目で時間がとれなくて、プレッシャーでやめていきました。自分が掲げた旗に対して、本気でやらないと仲間を守れないなって。
 
3つ目が自分の命の燃焼度が、ライフノートを100%やっていたときのほうが高かった、ってことです。起業がさしかかってきたときに学生のころからお世話になっていたカヤックの柳澤さんに「いま起業すればできるし、応援してくれる人もいるのになんでやらないの?」って言われて、今やるしかないな、と。

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外山:ライフノートを立ち上げの経緯を教えていただけますか。
 
町塚:きっかけは他人の期待とか世の中的にきれいに生きるより、心に素直に無邪気に冒険するように生きている人のほうが幸せだなって思ったこと。それが3年の夏くらいですね。
当時の自分は心に素直に生きている人を冒険家とすると、他人の期待に沿って生きている人は貴族と呼んでいて、自分も貴族っぽく生きていた時期がありました。
 
それが大学3年の夏で、いわゆる就活エリートで(笑)、3泊4日で優勝したらシリコンバレー、素敵な景品のためにひたすら思考リンチするみたいなインターンに参加しました。グループリーダーを務めていたんですが、2日目に起案していた事業が白紙になって、個人的に選択を迫られました。正解がわからないけど自分が心からやりたいことを突き詰めるか、一歩先に進んだリーダーとみられるために周りの意見に乗っかるか。それで、自分は後者を選択しました。その後頭が動かなくなって、メンバーが離れていき、評価されている感覚もありました。そんなときに小さいころからお世話になっている“動物おじさん”に会いました。
 
彼は仕事で昆虫とか魚を売っているんですが、経歴は某有名大学卒、大手証券会社っていうエリートコースなんです。なのに今は爪黒くて髪の毛くしゃくしゃ、シャツよれよれで、当時の自分は「彼は絶対幸せじゃない、貴族側になれたのになれなかった人だ、意味わからない」って思ってました。だけど目を輝かせて、仕事の話をするんです。そのときに冒険家として何か目指すことがあれば過程を楽しめる、そうではない人は他人に期待に応えようとするから周りの人の評価に頼ってしまうんだな、ということに気づかされました。それに、動物おじさんが育てためだかが3万円で売れたりするんですよ。おもしろいですよね。作り手自身が自分を表現したり、自分を表現したものを作った方がきっと魂のこもったものを受け取れる人も増えるだろうし、作り手も自分の心から好きな仕事で生きていけるから、幸せですよね。自分も冒険者として生きることが幸せだなって思ったし、冒険者を増やすことで世の中の生活者がよい商品に出会え、よい生活につながるんだと、だからそういう冒険者を増やそうと思うようになりました。
 
最初は冒険者を増やすために、そもそも自分がどう生きたいか考える時間が足りないというところに課題意識があり、自分の生き方、幸せの仮説を書く、生き方版のウィキペディアとして始めたのがライフノートです。

 

心の音源に触れるとワークルが生まれる

外山:始めるときにこうしたら自分の実現したい社会ができる、みたいな構想はあったんですか?
 
町塚:はじめは生き方に対する問いを設定して、その問いに対して話してもらったあとにライフノートにアウトプットするということをやってもらってました。
だけど、やりたいことを考えるだけでは人は変わらないので、行動してもらうために3回目のイベントからプロジェクトマッチングを始めて、マッチングのできるWebプラットフォームを作ろうと思っていました。ただ始めた頃はそもそもプロジェクトをやりたいという人がいなかったんですよね。
そこで、挑戦者自体を増やそうと、10月頃からワークルの中の1プロジェクトとして※ミライエを冒険家の舞台にすることが決まりました。
※ワークルの拠点となっている北鎌倉の古民家のこと。
 
その後は自分の営業力を生かそうと、各社のエース級の人たちを引っ張ってきて、第三の場でプロジェクトを、ワークルをやりませんか、という研修の提案を社長にしてました。ですが、トップアプローチはワークルにはあわないんですよね。ワークルは社長や会社の期待に応えるのではなくて目の前の人の期待に応えるためのものなので、社長からお金をもらうのはおかしいなと。その後は社外でのつながりが強かったので、自分の1時間を若者に投資してくれるボランタリーメンターを集めていました。

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外山:いまワークルの中で特に注力しているものはなんでしょうか。
 
町塚:1on1です。ワークル自体も1on1の中で生まれることが多いので。1on1では会社の理念の個人バージョンのような、強く信じる価値観、心の音源に触れることを大切にしていて、そこに触れると自然とぽんってワークルが生まれてくるんです。
 
外山:となるとワークルにとって対話の存在はとても大きいんですね。
 
町塚:そうですね。その中でも特に曹洞宗の言葉でいう縁と善を大切にしています。
自分と人と社会と深くつながるというのが縁で、他者貢献のアクションが善。
具体的にいうとその人が素敵だなと思ったことを伝えたり、自分自身に関する気づきを表現するのが縁、ナレッジ共有や人の紹介、自分のスキルを活かしたプロボノなど人の役に立つ行動が善です。
この2つを大切にすると自分の変化率も高まりつつ人に向き合う、つまり自分自身も主体的に生きつつ、ほかの人が主体的に生きるお手伝いもできるんですよね。
それから文化というところでいうと、ミライエをはじめ、ワークルの場づくりで大切にしているお作法が3つあります。
1つ目は択積道成(たくせきとうせい)。自分を見つめて次どこにいくかチューニングする、自分と自分がつながること。
 
2つ目は古来風(こらいふ)、人と接するときに大事にしてほしいお作法で子をありのままにうけいれる母のように、個をそのまま受け入れてその人を応援するという意味です。Co-lifeともかけていて、昔から今までを受け止めるような長い関係性を作りたいという想いが込められています。
 
3つ目が茶奉の時、持っているリソースをみんなでシェアしあおうというお作法で、茶室に入るときににじり口で刀を外さないといけないという礼儀から来ていて、肩書を外して対等に向き合うということです。
さっき話した縁と善の話になるんですが、縁がつながれば善がうまれる、リソースやナレッジシェアというのは自分と人が深くつながっているとシェアされものなのでワークルの中にはすばらしい他者貢献が生まれています。冒険するならたくさんの知識や、知恵がいるのでいろんなスキルもシェアされる場にしていきたいですね。

 

日本を課題先進国から課題”解決”先進国にしたい

外山:ワークルユーザーや運営メンバーにはどうなってほしいのでしょうか。
 
町塚:運営とユーザーの境があいまいなんですが、ユーザーはビジネス版のAKB48みたいなイメージです。
AKB48の、ふつうの人ががんばってスターにかけあがっていくストーリーが美しいと思っていて、AKB48みたいな人が増えれば、自分が主人公として冒険物語として生きている人が増えていくと思っています。
ワークルが部活動になる人、起業する人、あらためてやりたいことに気付いて転職する人、社内起業家になる人もいれば様々なんですが、ワークルユーザーが冒険家として心に無邪気にいる時間が増えてほしいです。
運営の担い手はユーザーと同じようにワークルの変化をしつつ、ワークルから受けた恩恵を広めていって欲しいですね。

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外山:ワークルが作っている変化が広がっていくのを想像するとワクワクしますね。
 
町塚:ありがとうございます。世界から見た日本って昔はすごかったけどいまは課題先進国として見られてると思っていて。そこで2020年のオリンピックのときに来ている人たちが「日本は課題先進国ではなくて課題解決先進国なんだ!」と思ってもらいたいです。
そのために2020年までにワークルの拠点は50拠点、会員は1万人、5000プロジェクトが動いていて、全国各拠点でそれぞれがドームを借りてストーリーを発表して称賛しあっている世界を作りたいと思っています。

バイト・ワーホリ・インターンと同じようにワークルという言葉が当たり前になり、大学生がキャンパスライフを楽しみにするように、社会人が社会にはいるときには「ワークルがあるから楽しみ」って思う人を増やしていきたいです。

まとめ

ワークルという新しい働き方のアイディアを日本社会に投げかける町塚氏。企業という組織で働く中での違和感など、もしかしたらこの記事を読んでいる際に心当たりがあった方もいるのではないでしょうか?

 

(ワークルでは定期的に会への体験参加などを受け付けております。興味がある方は、「ワークル紹介ページ」をご覧になった上で、「お問い合わせフォーム」までお気軽にご連絡ください。)

 
参考URL
Facebookページ
ブログ”「創職系」男子 まっちーの日記”
メンバー紹介記事(会員限定)
 
(ライター: 外山

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